自然と音楽演奏会シリーズについて (村中大祐による解説)

自然と音楽」のコンセプトとは

2011年の東北の大震災がきっかけで誕生いたしました。震災当時私はロンドンにおりましたが、映像から目に入った自然の猛威を前に、人類の無力を痛感いたしました。それから2か月後、わたしは居ても立ってもいられず、イタリアの国営オーケストラと追悼演奏を計画し、「海」をテーマにさまざまな作品を演奏しましたが、舞台上で響き渡る音楽のあまりの美しさに、そこに居合わせた人たちが、私も含め追悼すら忘れて音楽に聴き入り、癒されていた経験が、その後わたしに新たな気づきを与えてくれました。
自然本来の姿を表現するのがベートーヴェン以降の音楽の持つ特性です。有名な「田園交響楽」は自然を音に象った極めて象徴的な作品です。厳密に言えば、もちろん17世紀生まれのヴィヴァルディなどが「四季」といった楽曲を作り上げておりますが、もう少し大きな括りで言うならば、ロマン主義というものが西洋に台頭するようになると、文学や絵画の影響の下、音楽の世界にも風景描写や怪奇的な世界を表現する「ロマンティシズム」というものが生まれてきます。もとは教会音楽のなかで神を賛美する手段だった音楽が、やがて世俗の手に亘り、多くの音楽家の手を経て、ベートーヴェン以降、自然を表現するようになっていくのです。音楽家がそういった「自然を象った」音楽を演奏することがほとんどと言っていい今日、実は音楽を演奏する側が、音楽の持つ本来のメッセージに立ち戻ることは、あまり意識の中になかったと言ってもいいと思うのです。わたしをそこに引きずり戻したのが、ある意味震災の大きなショックでした。
音楽家が自然を表現すること。音楽というメッセージの「矢」が自ずから「放たれる」環境を作ることが、自分のミッションであると思うようになったのです。

なぜ植樹なのか

日本に帰国したある日、テレビでご年配の男性が横浜国大のキャンパスに座って、キャスターと話しているのを偶然見かけました。横浜国大のキャンパスに植樹して、それが10数年たったら立派な⒑数メートルを超す森になっている現実と、語られる言葉の力強さは、私にとって天啓でした。その森に囲まれて座っておられたのは、国際生態学センター長で横浜国立大学名誉教授の宮脇昭先生でした。宮脇先生はこれまで世界中で4000万本を超えるおびただしい数の植樹をされました。これまで鎮守の森を再生する活動や、熱帯地方で不可能とされた植樹事業を成功させ、今では岩手県大槻村で震災がれきを「資源」と捉えて、その瓦礫を森に変え、「いのちの防潮堤」を作っておられます。まるで厄介者だと思われていたものが、木や微生物の働きによって、この世に必要なものに蘇るこのお話。わたしは宮脇先生の語られる植樹を通じて、「負が正になる」瞬間を目の当たりにしました。この素敵なお話は、耳が聴こえなくなる絶望の中、ベートーヴェンが「遺書」までしたため乍ら、ハイリゲンシュタットというウィーン郊外の自然に癒されて行くうちに、交響曲第2番や第3番「英雄」を作曲して見事な精神的復活を遂げるストーリーをわたしに思い出させてくれました。
今回は生きた伝説、宮脇昭先生にご出演を快諾いただき、6月2日(月)に宮脇昭先生の講演会を19時半より横浜開港記念会館で主催いたします。ピアニストのイリーナ・メジューエワ女史にもご協力を頂き、講演会の前にメジューエワ女史のミニコンサートもお楽しみいただけます。

植樹へのご寄附

2014年より「自然と音楽演奏会シリーズ」を通じて、宮脇方式に則った植樹活動に対して、演奏会の収益金よりご寄附を行っております。

2014年度6月3日「伝説~レジェンド~」演奏会の収益金から、総額106,060円が「湘南国際村・めぐりの森」ならびに「NPO法人地球の緑を育てる会」に贈られることが決定いたしました。

2014年度10月ならびに6月公演の収益金から、総額55,500円が「NPO法人地球の緑を育てる会」に贈られることが決定いたしました。

NPO法人地球の緑を育てる会はこちら➡http://www.greenglobe.jp/

洪水被害へのチャリティ演奏会

皆様からの温かいご協力を賜りましたこと、心より感謝御礼を申し上げます。
ご来場の皆様より頂きましたチケット収入ならびにご寄付から
この度102,900円を関東・東北洪水被害への寄付金とさせていただきます。
改めまして、温かいご協力に感謝いたします。   AfiA LLC.